過去 – 経歴
—— これまでのキャリアの歩みと、現在の事業に至った経緯を教えてください。
私の人生観の原点は、大学生のときに経験した阪神・淡路大震災にあります。あの震災で、私は「当たり前は、当たり前ではない」を深く心に刻みました。街並みが、人の暮らしが、家族の笑顔が、一夜にして消えてしまう。その現実を目の当たりにしたとき、「今、目の前の人を大切にしたい」「今を生きることそのものに意味を見出したい」——そんな価値観が、私の中に深く根を下ろしました。
その経験を抱きながら、私は教育の道を選びました。25年間、教諭から始まり、教育委員会指導主事、そして教頭として、組織運営と人材育成に携わってきました。最後に教頭を務めた小学校では、60名のスタッフと850名を超えるの児童を毎日統括する立場——これは中小企業と同等の組織規模で、毎日が「人と組織を整える」ことの連続でした。
職員室に笑いが満ち、職員が成長していく姿を見て、外部の人からは「あなただからできることだね。」と言われ続けました。けれども私はそれに納得がいかず、仕組み化を意識して「学校経営マネジメント」に取り組めば働き方改革は加速すると確信したのです。
そして、教育現場を離れて独立を決断したきっかけもまた、震災でした。今度は、東日本大震災です。
目の前に喫緊の課題が山積する中、
「憂いている場合ではない。目の前の課題から目を逸らさず、自分の力は小さいけれど、未来を変えていく」
そう、強く心に決め、退職しました。
なぜなら——管理職が変われば、部下が変わり、家族が変わり、組織が変わり、やがて社会が変わっていく。管理職には、それほどの「伝播する力」があるからです。
だからこそ、今、教育現場で培った実践知を、経営の現場にまずは届けたい。それが、今の私の活動の根幹です。
今の活動につながる、具体的な出来事がありました。
主任になって2年目のことです。
当時の私は、「いいリーダーでいよう」と必死でした。誰よりも早く出勤し、誰よりも責任を背負い、チームのために頑張っているつもりでした。
ところがある日、信頼していた一人の部下が、私の前で突然泣き出したのです。
「ここまで頑張ってきたのですが、もう無理です」
「本当は、もっと相談したかった……」
その言葉に、私は唖然としました。良かれと思って肩に力を入れていた私は、周囲からは「いつも不機嫌で、声をかけにくい上司」に見えていたのです。「いい人でいよう」「いいリーダーでありたい」というつもりだった善意が、皮肉にも組織の関係性を壊していた——その事実に直面した瞬間でした。
あの日から、私は「いい人でいる」ことをあえて手放し、代わりに「上機嫌」という状態を戦略的に選ぶことにしました。
私が言う「上機嫌」とは、ただ明るく前向きでいるという意味ではありません。自分の機嫌に気づき、感情に飲み込まれず、相手との関係を諦めずに整え続ける——人とチームを動かすための実践的な力のことです。
その一点を変えただけで、場の空気が変わり、関係性が変わり、組織の成果まで変わっていきました。
例えば、教頭時代には「具体称賛」と「対話設計」を仕組み化したことで、残業時間数を大幅に削減する結果を得ました。そして、この仕組み化こそ、属人化からの脱却に活用できると確信しました。
教育現場で培った実践知を、経営の言葉に「翻訳」して届ける —- それこそが、「人を育てるプロ」だからできる今の私の仕事に繋がっています。
現在 – サービス内容

—— 具体的にはどのようなサービスを提供されているのですか?
「上機嫌 × 質問 × チーム変容」を軸に、3つの事業を展開しています。
一つ目は、企業・団体向けリーダーシップ研修です。
経営者から管理職、新入社員まで、各階層に応じた研修を全国で実施しています。これまでに公立大学法人様、小売卸企業様、ロータリークラブ様など、業種・規模を問わず多くの組織に研修・講演を提供してまいりました。延べ受講者数は6,000名を超え、研修満足度は93%。「社員の主体性が見える」「行動変容に繋がっている」という声を多くいただいています。
二つ目は、経営者・管理職向けの組織コンサルティングです。
離職率の改善、属人化の解消、心理的安全性の醸成といった経営課題に対し、関係性の質を整えることで土台から変えていく伴走支援を行っています。表面的な施策で終わらせず、組織が抱える諸問題を根本から解決していくのが私のスタイルです。研修だけでは届かない「日常の中での変容」を、伴走者として支え、組織の成果に繋げています。
三つ目は、教育機関での提供です。
今年度は洗足学園音楽大学と共立女子大学で、組織論・リーダーシップ論をベースにした講義を担当しています。次世代を担うリーダーが、社会に出る前に「関係性を育てる力」を身につける——その入り口となる学びを提供しています。
—— 他のリーダーシップ研修との違いはどこにあるのでしょうか?
世の中には「心理的安全性」「1on1」「傾聴」をテーマにした素晴らしい研修や書籍が数多くあります。その多くはリーダーの「行動」や「場づくり」に焦点を当てているのが特徴です。
私の活動が大切にしているのは、その一歩手前——リーダー自身の「内側の状態」です。心理的安全性は、どこから生まれるのか。その源泉は、リーダー自身の「上機嫌」という感情のあり方にあると、私は考えています。そして、その状態は「質問」という形になって周囲に伝わり、関係性を変えていくのです。
「誰かの行動を整える前に、自分の感情を整える。場をつくる前に、自分を整える。」
この順番を大切にすることがAI時代のリーダーシップに必要だと、私は確信しています。
もう一つ、私の活動が他のリーダーシップ研修と一線を画しているのは、そのバックグラウンドにあります。
リーダーシップを語る方は、世の中に数多くいらっしゃいます。経営学者、コンサルタント、元経営者、人事の専門家——皆さん素晴らしい知見をお持ちです。
ただ、「25年間、公教育の現場で人を育て続けてきた教育のプロが、その実践知を経営の現場に翻訳して届ける」——この立ち位置にいる人は、希少ではないでしょうか。
教育現場で、私は何が人を伸ばし、何が人を萎縮させるのかを、実践知として学び続けてきました。それこそが、いま経営現場で求められている 「人にしかできない仕事」の核心だと、私は確信しています。
AI時代に、テクニックや理論はAIが代替できます。でも、「人を育てる」という営みの本質は、現場で人と向き合い続けた者にしか語れません。だからこそ私は、教育のプロフェッショナルとして未来が豊かに明るくなるために今できることに取り組んでいます。
将来 – ビジョン
—— 今後のビジョンについて教えてください。
私のビジョンは、「これからを考えることにワクワクする大人を、日本中に増やすこと」です。なぜ 「ワクワクする大人」なのか。理由はシンプルです。大人がワクワクしていれば、その背中を見ている子どもたちにも必ず伝わるからです。子どもの未来をひらくのは、特別な教育プログラムでも、立派な制度でもなく、まずは身近にいる大人が、その人らしく今を生きている姿そのものです。これは、私が25年間、教育の現場で見続けてきた真実です。
そして、その「ワクワクする大人」をつくる最大の鍵、それは社会の中で多くの人と関わる経営者・管理職の皆さんだと、私は確信しています。職場のリーダーがその人らしく輝けば、部下が輝き、家族が輝き、子どもが輝く。管理職には、それほどの「伝播する力」があるのです。
その意味で、いま日本の状況は急を要しています。帝国データバンクの2026年1月の調査では、約52%の企業が正社員の人手不足を実感していると答えています(有効回答1万620社)。これからは「人さえ採ればなんとかなる」時代ではありません。「今目の前にいる人が、その人らしく輝けるように、どう関係性を整えるか」——そこが現場のリーダーに問われています。
そのために、これから3つの取り組みを進めていきます。
一つ目は、研修・セミナー・講演を通じた発信の拡大、そしてメディアを通じた「上機嫌」の社会実装です。
これまで現場でお伝えしてきた知見を、より広く、より多くの方々に届けていきたいと考えています。書籍、Web、テレビ、ラジオ、SNSなど、幅広いメディアの機会を通じて、「上機嫌」を一人でも多くのリーダーに届けることが、私の最初の挑戦です。
二つ目は、「上機嫌リーダーシップ・アカデミー」(仮称)の体系化です。
認定講師制度を立ち上げ、5年以内に100名の認定講師を育成。日本全国の中小企業・教育機関に「上機嫌マネジメント」を届ける伴走者ネットワークを築き上げます。私一人では届けきれない場所まで、共に歩む仲間と一緒に届けていく構想です。
三つ目は、未来を担う若い世代への関わりです。
今年度も複数の大学で講師を務めています。社会に出る前の学生たちに「関係性を育てる力」「上機嫌を選ぶ力」の大切さを伝えてる中で、学生の成長は素晴らしく、まさしく「気づき」が彼らの「宝」となっていることを実感しています。
学生時代に「ワクワクする大人」と出会えた経験こそが、その人の人生の軸になる——私はそう信じています。そしてその先に見据えているのは、グローバルな広がりです。日本の管理職文化——遠慮、忖度、本音を言いにくい空気感——には、欧米のマネジメント論ではすくいきれない繊細さがあります。だからこそ、日本発の「関係性ベースのマネジメント」を海外にも届けていきたい。
教育現場と経営現場、そしてグローバルな広がり。この三つの境界を「教育」を真ん中につないでいくことで、その人らしく輝き、今を生きる喜びを次の世代に手渡せる社会を、共に育てていきたいと願っています。
でも、まだまだ私の力は小さいです。
私のビジョンを実現していく上で、出会いたい方々がいます。
まずは、ワクワク生きたいと願っている大人と出会いたい。
そして、組織の「関係性」に本気で向き合いたいと願う経営者・人事責任者・研修担当者の方々。属人化、離職、心理的安全性の低さ——表面的な施策ではなく、土台から変えていく覚悟をお持ちの方とご一緒したいと思っています。
次に、私の理念に共鳴し、共に「上機嫌マネジメント」を全国に伝えてくださる方々やメディア・教育機関・グローバル展開のパートナー企業の皆様。日本の管理職文化を変えるという大きな挑戦を、一緒に育ててくださる方々とのご縁を大切にしたいと願っています。
「上機嫌」とは、一人で完結するものではありません。
誰かの上機嫌は、必ず誰かに伝播し、組織を動かし、社会を変えていきます。その温かな連鎖を、共に育ててくださる方々と出会えることを、心から楽しみにしています。
赤塚 直子さんのプロフィール
一般社団法人上機嫌リーダーシップ協会 代表理事。上機嫌リーダーシップ®実践家。「教育のプロフェッショナル × 組織変革の伴走者」として活動中。25年間、公教育の現場で教諭・教育委員会指導主事・教頭として、組織運営と人材育成に従事。最後の教頭時代は、60名のスタッフ・850名の児童を統括する大規模校のマネジメントを担い、働き方改革と関係性の質的改革を同時に推進してきました。退職後、「教育現場で積み上げた25年の実践知を、経営の言葉に翻訳し世の中を変えていきたい」として活動を開始。早稲田NEO(現・早稲田リーダーシップカレッジ)でリーダーシップ論を学び、日本アクションラーニング協会認定シニアアクションラーニングコーチ、NLPプラクティショナーの専門性も併せ持っています。これまでに大学生・教職員・社会人 延べ6,000名以上に、「上機嫌を戦略に」信頼関係が育つ組織づくりとリーダーシップを伝えてきました。研修満足度93%。今年度は洗足学園音楽大学・共立女子大学にて講師も務める。
趣味は愛犬との散歩・ワイン。時々ゴルフ。
大阪生まれ、奈良育ち。
▼ 一般社団法人上機嫌リーダーシップ協会 ウェブサイト
https://1177050.hp.peraichi.com/harmonicvision
▼ JYOKIGEN-web
https://jyokigen-web.jimdosite.com/
▼ Instagram (赤塚 直子さん個人)
https://www.instagram.com/happynao1031/
▼ Facebook (赤塚 直子さん個人)
https://www.facebook.com/naoko.akatsuka.1
▼ ホンマルラジオ ゲストトーク
2026/05/24【縁コネクト】コスト削減コンサル★佐久間健寿の サクッと削減♪『サクトーーク!!』第142回 『上機嫌』を戦略に! ゲスト:一般社団法人上機嫌リーダーシップ協会 代表理事 赤塚 直子さん(#政治経済)
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